【短編】メルティングギフト
「事情は重々承知ですが、勝手に顔を触らせたことは黙っていられません。僕という存在がいながらなにやってるんですか」

「ううっ……でも、ハンカチ越しだよ? 直じゃないんだからそんなに怒らなくても……」

「それでも嫌です。先輩だって、俺が他の女の人に涙拭ってもらってたら嫌でしょう?」



腰に当てられている手に力がこもる。

うぐぐ、確かに想像しただけで発狂しそう。



「そうだね……ごめんね」

「……許しません」

「えええ、そんなぁ。お願い! なんでもするから許して!」



相当頭にきているのか、瞳の奥には嫉妬の炎がメラメラ。

鎮火しようと、彼の手を握って懇願すると……。



「……わかりました。先輩からキスしてくれるならチャラにしてあげます」



交換条件にとんでもないものを要求された。



「えええ⁉ キ、キス⁉」

「はい。付き合って3ヶ月経ちましたし、そろそろどうかなって」
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