ふたりだけの秘密、甘いこと。



……びっくり、した。


だってわたしへの話し方がいつもの王子様キャラのものじゃなかったから。

ちゃんと、“ののか”って言ってくれたから。



「だ、大丈夫だよ?」


「……ならいいけど」



そっか、とスタスタ向かっていく彼を見つめながら、はっとして頬をぱちんと叩いた。



仕事に私情は持ち込まない!



なにやってるんだ、わたし。



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「っ……」



やっぱり、おかしい。

今日は照明の光がすごく眩しく感じて、なんだかくらくらする。


でも頑張らなくちゃ。わたし一人のせいで撮影を止めるなんてできない。



「……」



無言でわたしを見つめてくる琉唯くんの視線にも耐えて、その撮影をのりきった。




「……ふう、」



撮影終わった……。
あとは帰るだけだから安心。


早く帰ってベッドに飛び込みたいよ……。



「お疲れさまでした……」



そう言って、現場をおぼつかない足取りで去った。




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