ふたりだけの秘密、甘いこと。


「っ…大丈夫だから、」



少し投げやりになったみたいに飛び出した言葉。


とにかく上昇した頬の体温を知られたくなくて、すぐに合わせられた視線を反らして。



「……そう」



そう言うと諦めてくれたのか、添えられた手は簡単に離れていった。



っあ……。



…感じ、悪くなっちゃったかな……。



目を合わせてくれたのはさっきだけで、今はもう伏せがちになった瞼。


自分でも矛盾してると思う。

先に離れようとしたのは自分なのに、いざ手がほどかれていくと繋ぎ止めていたくなるの。



でも、もうこんな感情は持ってはいけない。


自分が悲しくなるだけだから。
……だけど、



ーーー何でそんなに切ない顔をするの?



もう琉唯くんがわからない。
琉唯くんのことが好きだから、頭のなかはずっと彼のことばっかり巡り続ける。



「……じゃあ、帰るね、ありがとう」




まだ添えられた手の温度は残っていた。


ちくりと、胸の痛みを残して。



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