ふたりだけの秘密、甘いこと。


「それにしても、“のの”すごい人気ねえ」


「えへへ……うれしいです」


「……可愛さ100点ね」



自己紹介が遅れまして。


わたし、七原なのか高校二年生。



“のの”という名前でいわゆる“読者モデル”をしています。




「今日の撮影もすごく楽しみです…っ!」


「……あ、言い忘れてたんだけどね、今日の撮影はーー」



清水さんが何かを言おうとしたとき、スタジオがなにやら騒がしくなった。


心なしか、「きゃー」って歓声が聞こえるような……?



「ーーはーーーす」



カメラマンさんたちや、編集さんたちに何かを言ってるのが聞こえるけど、あんまり良く聞こえない。



…一体誰なんだろう……?



不思議に思って向かった先には、すらりとした男のひとがいて。


こちらに気づいたのか、ぱちっと目があった。



……その顔は、よく知るもので。



「ーーあ、ののちゃん。今日はよろしくね?」



「…………げ、」



王子様、冷酷、女嫌い。

そう騒がれている、にっこりと笑った彼は。



あの、今大人気の“Rui”だった。



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