やっぱり中身で勝負
「戸山くんありがとう。本当に助かった」
「寺田さん今帰りだったんだね。
買い物袋も重そうだし。 お母さんはどう?」
「うん…、説明はされてたんだけどやっぱりお母さんはツラそうで……
私も有給をもっと取れば良かったかなって…」
「そう。家族として不安だよな。
特に寺田さんはお母さんと2人っきりだし…
あ、そうだ、ウチの母さんにお母さんの携帯番号の紙渡したからその内連絡すると思うからよろしくお願いします」
「あ、はい!お母さんも喜ぶよ。ありがとう戸山くん」
「あのさ…毎日この時間ならウチの親父が退院するまで送ってあげようか?」
「え? 戸山くんが?……」
「あ、毎日この時間は一旦帰宅した母さんを病院へ送ってくんだよ。
ウチの母さんさ〜午前の面会時間に自分の弁当持って病院行って昼メシを親父と食ってから一度洗濯しに自宅へ戻って自分の夕飯の弁当を作ってさ〜
親父の乾いた着替えを持って夕方から病院へ行くんだよ」
「え〜! 戸山くんのお母さん凄いね。」
「ああ、いい年こいて親父が、個室で1人の食事は寂しいって言ったらしくて、母さんも出来るだけ一緒に食べてあげたいらしいんだわ」
「仲がいいご夫妻なんだね。」
「仲がいいんだかわからないけど、いっつも口喧嘩して笑ってるかな〜 変な夫婦だよ」
「ふふふ。仲がいいご夫妻だよ」
「だから寺田さん、本当に遠慮しなくていいんだよ。今日のようにオレも見かけたら声かけるし」
「じゃあ、お言葉に甘えてそうさせてもらってもいい?」
「うん。そうしよう」
「本当にありがとう。宜しくお願いします」
「ハハハ。律儀だな寺田さんは〜」
「え? 私は普通だよ?」