やっぱり中身で勝負
今日の敦志は、沙緒里の顔をまともに見れなかった。

夏の休暇は確かに今日から10日間。
実は…法事は嘘。
沙緒里のお母さんが手術する事が決まった2ヶ月前敦志は大学時代のツレに
『彼女と別れたから誰か紹介してよ〜』と嘘をついて都内の不動産会社で秘書課に勤務している
木下 茉莉花23歳(きのした まりか) を紹介してもらい付き合い始めていた。

俺のツレの彼女の後輩の茉莉花はお嬢様育ちの子だった。
茉莉花の実家は九州で不動産会社をやっていて、
彼女の容姿もスタイルもファッションも俺の好みのタイプだった。

学生時代に短期留学もしていたから英語もバッチリで、今は中国語も勉強中らしい。
茉莉花が住んでいる都内のマンションは親父さん所有の分譲マンション。
ちょっと、ワガママなところがあるが、それも許せるくらい可愛い子だ。

看護師の沙緒里と比較しては申し訳ないが、茉莉花の方が海外目指している俺には断然条件がいい。

そして、夏の休暇を利用して明日から茉莉花とハワイへ遊びに行く。

転勤が決まってこの地方都市から離れる時…
沙緒里と別れて茉莉花にプロポーズしようと思っている俺。
俺は、仕事もプライベートも正念場を迎えている。

だから今から別れやすいように海外赴任の話しを沙緒里に匂わせておく。
沙緒里だってお母さんの事があるから別れる事を納得してくれるだろう。
< 22 / 57 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop