やっぱり中身で勝負
何故か戸山くんはこちらへ来るのをちびっ子たちに阻止される始末。

試合が始まり、ちびっ子たちは応援しながらも私にルールを教えてくれる。
ラグビーではパスは後ろにしかできないとか、ゴールはトライって言うとか、
相手チームと多人数でくみあうのがスクラム。とラグビー用語も教えてくれた。

試合はスクラムがあったり、ボールを持って走ってゴーじゃあなくて…トライ!したり、ポールの間にボールを蹴ったりとサッカーより難しいスポーツのように思えた。

審判のピーというホイッスルでハーフタイムになり、戸山くんが駆け寄ってきた。

「寺田さん、大丈夫?」

「うん。ラグビー用語やルールは難しいね。
1回じゃあ覚えられないよ私は〜 ハハハ。
みんな教えてくれてありがとう。」

「お姉さん、今度はイチローコーチと僕たちの試合を観にきてね」

「うん!それまでにもっとラグビーのことを戸山くんに教えてもらうね」

「約束だよ!」

「うん!絶対観に来るから、みんなも頑張ってね。
お姉さんは、トイレに行ってくるね。」

とみんなに手を振ってトイレへ。

トイレを済ませて外へ出ると、私の荷物を持った戸山くんが待っていた。
「アレ?戸山くん。」

「寺田さん、本当にごめんな、落ち着かないから悪いけど今日は帰ろう。」

「でも戸山くんの教え子さんの試合はいいの?」

「大丈夫。あの後アイツらのお母さん達がやって来てさ〜。彼女なの?とかいろいろとうるさいから寺田さんの荷物持って来たんだ」

「そうだったんだぁ〜 こちらこそごめんなさい。戸山くんの彼女に私なんかが間違われちゃって〜
もっと美人だったら良かったのにね!」

「何言ってんの寺田さんは…
オレさ、今日はもう疲れたし帰ろうぜ」

「うん。わかった」
戸山くんが荷物を持ってくれて駐車場の車に乗り込んだ。
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