やっぱり中身で勝負
車は道の駅へ
トイレへ行き特産品を眺めてから、浜辺にあるベンチに腰掛けた。
「戸山くんは海によく来る?」
「いや、オレも大学生の夏休みに帰省して仲間と海水浴して以来かも…」
「私も看護学校の時以来かも」
「ねぇ、どうして看護師を目指したの?」
「ウチのお父さんさ、高校に入学してすぐに癌で亡くなったんだけど、その時に担当して下さった看護師さんが、仕事も人間性も素晴らしい方でね。
お父さんはもちろん、私やお母さんにまで心のケアまでしてくれたの。 私もそんな看護師になりたい!って思ったのがキッカケかなぁ。
私はまだその看護師さんにはほど遠いけどね」
「そうだったんだなぁ」
「戸山くんは? 関西の高校へ行くのに不安じゃあなかった?」
「そりゃあ不安だったよ。地元を離れるのがツラかったけど、ラグビーをもっと上手くなりない方が勝ったのかな。
ラグビーもそうだけど、他にもたくさんの事を学んだよ。
寮生活のおかげで洗濯や掃除も自分でやれるようになったし。」
「なんか戸山くんと話しをすると元気になるのは何故なんだろう…」
「え〜? 元気になるの?」
「うん。戸山くんって相手の心の中がわかってるっていうか〜、だから私が気持ちを言葉にして伝えるのが難しい時でもきちんと理解して答えてくれるでしょう。」
「え、オレってそんな感じなの?」
「うん。」
「そんな事初めて言われたよ?」
「そう?私は本当に助けてもらってるよ。
戸山くんの言葉で救われてるもん。
いつもありがとう。」
「なんか照れるなぁ…」
「いつもお世話になってる戸山くんにソフトクリームをご馳走させて下さい。」
「ヤッタ!サンキュー。」
売店でソフトクリームを買いもう一度、ベンチに戻り並んで食べた。
帰りの道路が混むとイヤなので早めに帰る事にした。
車に乗った沙緒里は一郎にお礼を伝えた。