やっぱり中身で勝負
「彼氏ってどんな職業で、どんな家庭に育ったの?」
「東京出身で、お父さんは公認会計士でお母さんは専業主婦。 学校は小学校から大学までの一流私立学校を出て、メガバンクに総合職で就職してここへは2店目らしいの。
彼氏とは先輩に無理矢理連れていかれた合コンで知り合ったんだけど、はじめ私は付き合う気がなかったんだ。
でも結構アプローチしてきて、私が看護師として自立しているし、自分が病気になったら看病してもらえるから安心って言われたの…。
その時の私は、働く1人の女性として認めてもらえたのが嬉しくてお付き合いすることにしたんだよね。
高身長でイケメンオーラがあって、優しい人だよ。
今まで喧嘩もした事ない。
でもそれって本音というか本心をみせてもらえてないように最近の私には感じるかな」
戸山くんが急に車を路肩に停めた。
「なんだよそれ!!
じゃあ何?寺田さんの事は看護師だから付き合ってる訳?
寺田さんのことを馬鹿にするにもほどがある!
何なんだよその男はよ〜。
自分に利益になるヤツなら何でも利用しようとするだだの自己中じゃあないか!
世間を舐めやがって…
絶対にそんなヤツは出世しない!
要領よく立ち回ってるつもりかもしれないけど、必ず人生ダメになるわ。
寺田さん!そんな男、さっさと捨てろ!」と戸山くんは烈火の如く怒り出した。
いつも穏やかな戸山くんがこれ程怒るとは思わなかった。
まるで私の事を家族や妹のように思ってくれる優しさなんだなと思った。
戸山くんが敦志のことを私に変わって代弁してくれたので、私は心がスッキリした。