やっぱり中身で勝負
沙緒里は赤ちゃんの為に何か作ってあげたくて、赤ちゃん用の編み物の本を買ってきた。
おくるみが簡単そうだったので、手芸店で材料を用意して器用な正枝お母さんに聞きながら編んでいる。

お母さん達はお出かけに必要なオムツを入れる巾着袋やポーチなどを作って、可愛い刺繍をしてくれている。

そして、問題なのがお父さんと一郎くんだ。
『ただいま!沙緒里〜今日はね親父と昼休みにデパート行ってチャイルドシート買ったよ〜』

『え、この前も買ったでしょう?』

『アレは、親父の車にセットするヤツで、今日のはオレらの車に取り付けるヤツ〜』

『え〜』

『だってさ〜いちいち取ったりつけたり面倒だからさ〜』

お母さんたちは苦笑いしている。
『一郎くん。毎日そんなに買わなくてもいいのに…』

『いやいや、パパだって何かしてやりたいんだよ〜』

『一郎パパさん、ありがとう。そしてお父さんも一郎くんもお仕事お疲れ様でした』

『そうよ〜お父さんも一郎も仕事キチンとしてるの? 毎日2人でデパートで買い物して〜』

『だってなぁ母さん、一郎の頃よりベビー服もおもちゃもいいのが多くてさ〜 店員さんにいろいろ聞いて、これでも我慢して必要な物だけ買ってるんだぞ! なぁ〜一郎。』

『そうそう。』

『ふふふ。じゃあ後で今日買ったチャイルドシートのセールスポイントを教えてね!』

『ああ。オレ子供用品の会社に転職できるくらい説明できるようになったから〜』

みんなで大笑い。
一郎くんは私が安定期に入るまでラグビーコーチをしばらくお休みすると言い出したので、
『保護者のママさんたちにあると便利なベビーグッズ情報をゲットできるんじゃない?』と話したところ…

『そうだな! 先輩ママに聞いてみる!』

『私もたまには一緒に行きたいな』

『ダメ!観覧席は寒いんだから沙緒里は留守番な』

『え〜私も先輩ママさんからいろいろ教えてもらいたいのに〜』

『そうよ一郎、たまには沙緒里ちゃんを外に連れて行ってあげなさいよ。帰りは少しドライブしたら?』

『……わかったよ。沙緒里を連れて行くけど毛布とか暖かい格好な。』

『ヤッタ!』

私の妊婦生活は過保護な一郎パパのおかげで制限の多い生活だった。
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