やっぱり中身で勝負

それも今日でお終い。

そう、今日陣痛があって夕方から入院した。
お母さん2人と夕飯のお弁当を食べていた。

一郎くんとお父さんへ連絡したところ、立ち会い出産する一郎くんだけすぐに病院へ来てくれる事になった。

バタバタと大きな音が廊下からしたと思ったら、
『沙緒里! 赤ちゃんは?』

『一郎くん! まだ大丈夫よ立ち会い出産に間に合って良かったね』

『はあ〜。やっとチビ助に会える! 夕飯食べてたの? 母さんオレ弁当もある?』

『あるわよ。景子さんがたくさんおにぎりも作ってくれたのよ』

『じゃあ、オレも出産に備えていただきます。』
パクっとおにぎりを食べた一郎くん。

私は急にお腹が痛くなって『痛い』って叫んだら
一郎くんはビックリして手に持っていたおにぎりを落とした。

それからは初産にもかかわらずあっという間に分娩室へ

一郎くんも緊張しながら着替えて分娩室へ入る。
ずぅーと赤ちゃんが産まれるまでぎゅーと手を握ってくれた一郎くん。

『沙緒里、頑張れ。もう少しだぞ…』

『戸山さん、赤ちゃんの頭が見えてきたから大きくいきんでね。ヒーヒーフー もっと!もっといきんで、赤ちゃんも頑張ってるからもう少しだよ!』

『おぎゃ〜!おぎゃ〜!』

『おめでとうございます。元気な男の子ですよ。
お母さんの胸に置くよ。さぁママだよ。』

小さな赤ちゃんが私の胸に置かれた。嬉しくて涙が出る。
一郎くんは『ゔ〜。沙緒里ありがとう。チビ助頑張ったな…』と泣いていた。

『じゃあお父さんは、廊下でお待ち下さい。この後、ママと赤ちゃんの処置がありますので』

『はい〜。本当にありがとうございました。』と先生と看護師さんにお辞儀をして廊下へ出ていった。
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