愛しい師よ、あなただけは私がこの手で殺めなければー大賢者と女剣士の果しあいー
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 地に刺さった風車が虚しく回っている。
 持ち主の子どもが手にすることはない玩具を横目に、シャンガは幼い子の、固く強張った(からだ)を運ぶ。
 立ち寄った村はすでにゼウラが去った後で、村は悲哀と亡骸の処理がのしかかっていたのだ。

 掘った穴に折り重ね、焼くのだという。
 シャンガは運搬に名乗りを上げた。村人は旅人に申し訳ないと頭を下げたが、これはシャンガなりの罪悪感との折り合いだった。

(私の覚悟が甘かったから、師匠を取り逃したから)

 心のどこかに「自分も師匠の豹変に巻き込まれた被害者だ」と甘えがあったのだ。
 いわばこの村の惨劇はシャンガの甘えの延長にある。

(もう……覚悟を決めよう。どんなにゼウラ師匠との思い出が恋しく、育ててくれた温かみを信じたくても。この惨状を目に焼き付けろ、これ以上を同じことを許してはいけない)
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