恋は秘密のその先に
第三章 副社長の素顔とは?
「副社長、そろそろ移動をお願いします」

役員会議の始まる時間から逆算して、真里亜は副社長に声をかけた。

無言で立ち上がる副社長に、ハンガーに掛けてあったスーツのジャケットを渡し、ドアを開ける。

廊下に出ると、早足で先回りしてエレベーターを呼ぶ。

会議室に着くと、必要な資料をデスクに並べながら副社長に説明した。

その後、秘書課の数人と一緒に役員にコーヒーを配りながら、ふと真里亜は副社長の今日の予定を思い出す。

(このあとは、会食や来客が詰まってる…)

そこではお客様に合わせてコーヒーを飲むことになるだろう。
それに先程も飲んだばかりだ。

真里亜は副社長には緑茶を淹れることにした。
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