恋は秘密のその先に
「やあ!これはこれは天城副社長。またお会い出来て嬉しいよ」
「社長。こちらこそ、またお目にかかれて光栄です。今夜はお招きいただき、ありがとうございます」
文哉の一歩後ろで、真里亜も深々と頭を下げる。
「アベ・マリアも、元気そうだね」
「はい、お陰様で。お気遣いありがとうございます」
声をかけられ、真里亜もにこやかに答えた。
招かれたのは、都内の高級ホテル最上階のフレンチレストラン。
文哉も真里亜も、いつものブティックで支度を整えてからホテルに向かった。
この時ばかりは何も言わずとも、住谷が送迎を買って出てくれた。
ワインで乾杯し、少し雑談したあと、おもむろに社長は切り出した。
「実はね、今日わざわざお呼び立てしたのは他でもない。アメリカの本社、キュリアス USAのCEOから連絡が来たんだ」
は…?と、文哉も真里亜も思わず手を止めて顔を上げる。
「キュリアスの、本社から、ですか?」
「そう。何でも、キュリアス ジャパンの新社屋に関して本社で報告された時に、CEOがAMAGIコーポレーションに興味を示したらしいんだよ。あの世界中を怯えさせていたハッカーを捕まえたのか?ってね」
「いえ、あの。捕まえたというより、正しくは侵入されたのですが…」
文哉が申し訳なさそうに言う。
「もちろん、そのこともご存知だ。だが結局は犯人逮捕に繋がっただろう?それで是非今後、AMAGIコーポレーションとキュリアスUSAが手を組んで、ハッカーに対するセキュリティシステムを新たに開発したいというんだ。ハッカーは国境など関係なく、どんな国の企業をも狙ってくる。特に日本のハッカーは能力が高い。ハッカーだけでなく、政府関係のスパイに探りを入れられている可能性もある。全ての国のハッカーやスパイから情報を守る為、各国の主要な企業とチームを組むことになった。そして日本からはAMAGIコーポレーションを招きたい、との話らしい」
「は、はあ…」
話の規模の大きさに、文哉も真里亜もポカーンとしてしまう。
「どうだい?一度話だけでも聞きに行ってくれないかな?ワシの顔を立てると思って。お願いするよ」
「そ、それはもちろん!社長のお役に立てるのなら、どんなことでもいたします」
「そうか!ありがとう。じゃあ早速、話を進めておくよ。また改めて連絡する。あ、パスポートだけは用意しておいてくれ」
アベ・マリアもな、と付け加えると、社長は満足そうに料理を食べ始める。
(パスポート…話を聞きに…。パスポート?)
真里亜の頭の中には、その言葉がグルグルと回り続けていた。
「社長。こちらこそ、またお目にかかれて光栄です。今夜はお招きいただき、ありがとうございます」
文哉の一歩後ろで、真里亜も深々と頭を下げる。
「アベ・マリアも、元気そうだね」
「はい、お陰様で。お気遣いありがとうございます」
声をかけられ、真里亜もにこやかに答えた。
招かれたのは、都内の高級ホテル最上階のフレンチレストラン。
文哉も真里亜も、いつものブティックで支度を整えてからホテルに向かった。
この時ばかりは何も言わずとも、住谷が送迎を買って出てくれた。
ワインで乾杯し、少し雑談したあと、おもむろに社長は切り出した。
「実はね、今日わざわざお呼び立てしたのは他でもない。アメリカの本社、キュリアス USAのCEOから連絡が来たんだ」
は…?と、文哉も真里亜も思わず手を止めて顔を上げる。
「キュリアスの、本社から、ですか?」
「そう。何でも、キュリアス ジャパンの新社屋に関して本社で報告された時に、CEOがAMAGIコーポレーションに興味を示したらしいんだよ。あの世界中を怯えさせていたハッカーを捕まえたのか?ってね」
「いえ、あの。捕まえたというより、正しくは侵入されたのですが…」
文哉が申し訳なさそうに言う。
「もちろん、そのこともご存知だ。だが結局は犯人逮捕に繋がっただろう?それで是非今後、AMAGIコーポレーションとキュリアスUSAが手を組んで、ハッカーに対するセキュリティシステムを新たに開発したいというんだ。ハッカーは国境など関係なく、どんな国の企業をも狙ってくる。特に日本のハッカーは能力が高い。ハッカーだけでなく、政府関係のスパイに探りを入れられている可能性もある。全ての国のハッカーやスパイから情報を守る為、各国の主要な企業とチームを組むことになった。そして日本からはAMAGIコーポレーションを招きたい、との話らしい」
「は、はあ…」
話の規模の大きさに、文哉も真里亜もポカーンとしてしまう。
「どうだい?一度話だけでも聞きに行ってくれないかな?ワシの顔を立てると思って。お願いするよ」
「そ、それはもちろん!社長のお役に立てるのなら、どんなことでもいたします」
「そうか!ありがとう。じゃあ早速、話を進めておくよ。また改めて連絡する。あ、パスポートだけは用意しておいてくれ」
アベ・マリアもな、と付け加えると、社長は満足そうに料理を食べ始める。
(パスポート…話を聞きに…。パスポート?)
真里亜の頭の中には、その言葉がグルグルと回り続けていた。