恋は秘密のその先に
「えーっと、これは簡単なスケジュールね。今日はゆっくり休んでもらって、明日、朝10時にホテルにお迎えに上がります。11時頃から本社の会議室でランチミーティング。CEOも参加するわ。夜は他のお客様も招いてホテルで立食パーティーね」

ひえっと真里亜は肩をすくめる。

「大丈夫よ。日本と違ってこっちはフランクだから。楽しんでね!それと、明後日は社内をゆっくりご案内します。そこからはお二人の自由よ。ニューヨークを思う存分満喫して。えーっと、大体のところは押さえてあるの。これが美術館と展望台のチケット、こっちはロックフェラーセンターのスケートのVIPチケットね。それから、ミュージカルは何がお好みかしら?」

真里亜は話のテンポについて行けず、目を白黒させる。

「ご希望がないなら、適当に選んでもいい?オペラ座の怪人とか?」

真里亜が、はいと頷きかけた時、横から文哉の声がした。

「ウエスト・サイド・ストーリーはやってますか?」
「ええ、やってるわよ。あっ!なるほどー。そうよね、それがいいわ。じゃあそうしましょう。あとは、何か手配するものはある?」
「いえ、もう充分です。ありがとうございます」
「お安い御用よ。これ、私の携帯の番号。いつでも電話してきてね」

そう言ってビジネスカードを差し出す。
文哉も携帯番号を載せた名刺を渡した。

「ホテルのチェックインは終わってるから。これがルームキー。お部屋までご案内しましょうか?」
「いいえ、大丈夫です。ありがとうございました」

ホテルに着くと、文哉と真里亜はカレンとサムに礼を言って見送った。
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