恋は秘密のその先に
「ここはどうだ?」
ふいに足を止めて文哉が尋ねる。
そこは木のぬくもりが感じられるゆったりとしたカフェで、外にあるメニューのブラックボードも、手描きのイラストでおしゃれな感じだった。
サンドイッチやスコーン、マフィン、サラダやスープなど、どれも美味しそうだ。
「いいですね!」
二人で店内に足を踏み入れる。
あったかーい、と真里亜がホッとしていると、
「Hi ! How are you doing today ?」
とカウンターのスタッフが笑顔で声をかけてきた。
わっ、英語だ!と真里亜が面食らっていると、文哉が軽く「Good, thank you」と答えている。
「For here or to go ?」
「For here, please」
そして文哉は真里亜を振り返る。
「どれがいい?」
「えーっと…」
真里亜は横文字だらけのメニューをじっと見つめる。
「アボカドとかサーモン、チーズなんかのサンドイッチ、ありますかね?」
文哉はスタッフに何やらペラペラと話しかける。
「アボカドサーモンのホットサンドがあるから、それにエキストラチーズを頼めばいいって」
「あ、はい。じゃあそうします」
文哉はスタッフと会話したあと、また真里亜に尋ねる。
「チーズは何がいい?チェダー、モッツアレラ、ゴーダ、ゴルゴンゾーラ、ブルーチーズ…」
「じゃあ、チェダーでお願いします」
「OK. 備え付けはベーコン、ソーセージ、ハッシュブラウン、それと、何だっけ?」
もう一度スタッフに確かめようとする文哉に、慌てて真里亜が答える。
「じゃあ、ベーコンで」
「分かった。飲み物は?」
「ホットの、んー、カフェラテで」
「ミルクは?ノンファット、ローファット…」
「あ、いえ、普通ので」
日本語で聞かれるだけでもクラクラしてしまうほど細かいオーダーを、文哉は難なくスムーズにこなし、クレジットカードでサッと会計まで済ませた。
「すみません。あとでお支払いします」
「バカ。こんなところでお前が財布出したら、俺は大ひんしゅくだ。恥をかかせないでくれ」
「あ、はい。すみません」
トレーに載せたビッグサイズの飲み物とサンドイッチを持って、文哉は窓際のテーブルに真里亜を促した。
「わー、美味しそう!」
「どうぞ、召し上がれ」
「はい!いただきます」
真里亜は早速アツアツのホットサンドを頬張る。
「んー、美味しい!アボカドってこんなに美味しいんですね。サーモンも新鮮だし、チーズもとろけて最高です」
「それは良かった」
「副社長は?何を頼んだんですか?」
「ん?俺は、何だっけ。チキンとブルーチーズとサンドライドトマトのグリルサンドかな」
へえーと真里亜は文哉の手元をじっと見つめる。
文哉は、ふっと笑うと、ナイフで半分に切り分けた。
「はい、どうぞ」
「え、いいんですか?」
「物欲しそうにじーっと見ておいて何を言う」
「すみません。じゃあ、副社長も私のホットサンド、半分どうぞ」
半分に切ってあったサンドイッチを、真里亜は文哉の皿に載せた。
「おお、これうまいな」
「でしょう?もう大満足です」
大きな口を開けて頬張る真里亜を、文哉は呆れたように眺める。
「お前、子どもか?顎外れないようにな」
「ふふ、大丈夫でーす」
「やれやれ。彼氏の前ではもうちょっと上品に食べた方がいいぞ」
「そんなこと気にしなきゃいけないなら、彼氏なんていりませーん」
「色気より食い気か」
「何とでも言ってくださーい」
真里亜は、大きなサンドイッチもカフェラテもペロリと平らげて、満足そうな笑みを浮かべる。
「ふう。お腹いっぱい」
「だろうな。アメリカンサイズを食べ切って、まだ腹がいっぱいにならなかったらどうしようかと思ってた」
「えー、普通食べ切らないものなんですか?」
「ああ。あとでドギーバッグを渡すからってスタッフに言われていた。必要なかったな」
さてと、と文哉は立ち上がる。
「このあと、どこか行きたいところあるか?」
「いえ、特には。少し歩きたいです」
「じゃあ、俺の行きたいところにつき合ってもらってもいいか?」
「はい、もちろん」
文哉は頷くと、黙って歩き始めた。
ふいに足を止めて文哉が尋ねる。
そこは木のぬくもりが感じられるゆったりとしたカフェで、外にあるメニューのブラックボードも、手描きのイラストでおしゃれな感じだった。
サンドイッチやスコーン、マフィン、サラダやスープなど、どれも美味しそうだ。
「いいですね!」
二人で店内に足を踏み入れる。
あったかーい、と真里亜がホッとしていると、
「Hi ! How are you doing today ?」
とカウンターのスタッフが笑顔で声をかけてきた。
わっ、英語だ!と真里亜が面食らっていると、文哉が軽く「Good, thank you」と答えている。
「For here or to go ?」
「For here, please」
そして文哉は真里亜を振り返る。
「どれがいい?」
「えーっと…」
真里亜は横文字だらけのメニューをじっと見つめる。
「アボカドとかサーモン、チーズなんかのサンドイッチ、ありますかね?」
文哉はスタッフに何やらペラペラと話しかける。
「アボカドサーモンのホットサンドがあるから、それにエキストラチーズを頼めばいいって」
「あ、はい。じゃあそうします」
文哉はスタッフと会話したあと、また真里亜に尋ねる。
「チーズは何がいい?チェダー、モッツアレラ、ゴーダ、ゴルゴンゾーラ、ブルーチーズ…」
「じゃあ、チェダーでお願いします」
「OK. 備え付けはベーコン、ソーセージ、ハッシュブラウン、それと、何だっけ?」
もう一度スタッフに確かめようとする文哉に、慌てて真里亜が答える。
「じゃあ、ベーコンで」
「分かった。飲み物は?」
「ホットの、んー、カフェラテで」
「ミルクは?ノンファット、ローファット…」
「あ、いえ、普通ので」
日本語で聞かれるだけでもクラクラしてしまうほど細かいオーダーを、文哉は難なくスムーズにこなし、クレジットカードでサッと会計まで済ませた。
「すみません。あとでお支払いします」
「バカ。こんなところでお前が財布出したら、俺は大ひんしゅくだ。恥をかかせないでくれ」
「あ、はい。すみません」
トレーに載せたビッグサイズの飲み物とサンドイッチを持って、文哉は窓際のテーブルに真里亜を促した。
「わー、美味しそう!」
「どうぞ、召し上がれ」
「はい!いただきます」
真里亜は早速アツアツのホットサンドを頬張る。
「んー、美味しい!アボカドってこんなに美味しいんですね。サーモンも新鮮だし、チーズもとろけて最高です」
「それは良かった」
「副社長は?何を頼んだんですか?」
「ん?俺は、何だっけ。チキンとブルーチーズとサンドライドトマトのグリルサンドかな」
へえーと真里亜は文哉の手元をじっと見つめる。
文哉は、ふっと笑うと、ナイフで半分に切り分けた。
「はい、どうぞ」
「え、いいんですか?」
「物欲しそうにじーっと見ておいて何を言う」
「すみません。じゃあ、副社長も私のホットサンド、半分どうぞ」
半分に切ってあったサンドイッチを、真里亜は文哉の皿に載せた。
「おお、これうまいな」
「でしょう?もう大満足です」
大きな口を開けて頬張る真里亜を、文哉は呆れたように眺める。
「お前、子どもか?顎外れないようにな」
「ふふ、大丈夫でーす」
「やれやれ。彼氏の前ではもうちょっと上品に食べた方がいいぞ」
「そんなこと気にしなきゃいけないなら、彼氏なんていりませーん」
「色気より食い気か」
「何とでも言ってくださーい」
真里亜は、大きなサンドイッチもカフェラテもペロリと平らげて、満足そうな笑みを浮かべる。
「ふう。お腹いっぱい」
「だろうな。アメリカンサイズを食べ切って、まだ腹がいっぱいにならなかったらどうしようかと思ってた」
「えー、普通食べ切らないものなんですか?」
「ああ。あとでドギーバッグを渡すからってスタッフに言われていた。必要なかったな」
さてと、と文哉は立ち上がる。
「このあと、どこか行きたいところあるか?」
「いえ、特には。少し歩きたいです」
「じゃあ、俺の行きたいところにつき合ってもらってもいいか?」
「はい、もちろん」
文哉は頷くと、黙って歩き始めた。