恋は秘密のその先に
第十六章 キュリアス USA
次の日。
ホテルのロビーにあるカフェで簡単にモーニングを食べると、真里亜と文哉はスーツに着替えてミーティングに行く準備をする。

「えっと、セキュリティシステムについての英語資料がこちらです。AMAGIコーポレーションについての案内はこちら。キュリアス ジャパンの新社屋に関するものと、現在開発中のシステムはこちらに」

次々と文哉の前に資料を並べながら、一緒に確認していく。

「あとは全てパソコンのフォルダに入れて来ましたので、必要があればその都度お見せします」
「分かった」

約束の10分前になり、二人はロビーに下りる。

ちょうど10時に、サムの運転でカレンが現れた。

「グッモーニング!やっぱり日本人ね。パンクチュアルで助かるわ」

明るくカレンが二人に笑いかけた。
それだけで、なんだか周りが華やかになるような、自信とパワーに満ち溢れている。

「さあ、では本社に行きましょう。CEOがお待ちかねよ」
「は、はい!よろしくお願いいたします」

真里亜は一気に緊張感が高まる。

15分ほどで、車はガラス張りの高いビルの前に到着した。

「着いたわよ。どうぞ」

カレンに続いてビルの中に入る。

「わあ、モダンでおしゃれですね。美術館みたい」

真里亜は思わず感嘆の声を上げる。

「そうね。私も毎日ここで働くのが楽しいわ。オフィスやデスクも、とても落ち着く空間なの。プライベートを大事にしているけど、仲間とリラックスして会話出来るスペースもあるし。明日、詳しくご案内するわね。今日は会議室だけでごめんなさい」
「いえ、そんな。ありがとうございます」

吹き抜けの開放感溢れるロビーを進み、渡されたセキュリティカードでゲートを通る。

更にはガードマンの手荷物検査やX線検査も受けた。

「とっても厳重なんですね」
「ええ、そうなの。気分を悪くさせたならごめんなさいね」
「とんでもない。おかげで安心です」
「そうよね。私もそう思うわ。ニューヨークは、特にテロや事件に敏感な街だから」
「はい」

昨日訪れた、あの現場を思い出す。
やはり忘れてはいけないのだ。
二度とあんなことが起こらないよう、あらゆるセキュリティシステムを強固にしていきたい。
国や人種を超えて、互いに協力しながら。

真里亜と文哉は、気持ちを新たにしてより一層気を引き締めた。
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