恋は秘密のその先に
「真里亜、これ…」

いつの間にか肩から滑り落ちそうになっていたショールを、文哉がそっと手に取る。

「外してもいい?」
「だめ!」
「じゃあ、ちょっとだけ」
「ど、どうしてそうなるの?だめったらだめ!」

必死でショールを押さえていると、文哉はまた甘く真里亜に口づける。

ん…、と真里亜の身体から力が抜けるのを見て、スルリと文哉がショールを引き抜いた。

ハッとした真里亜が目を見開く。

「もう、だめだったら!」
「こっちこそだめだ。こんな姿見せられたら、もう…」

文哉は、あらわになった真里亜の鎖骨のラインを指でそっとなぞる。

真里亜が思わず背中を反らせると、文哉はすかさず浮き上がった真里亜の背中の下に手を差し入れ、滑らかな背筋をスッと撫でた。

ピクッと真里亜の身体が反応する。

「すごく綺麗だ」

手に触れる真里亜の肌は吸い付くようにみずみずしく、いつまでも撫でていたくなる。

背中をまさぐっていた手で、文哉が真里亜のドレスのファスナーを一気に引き下ろした時だった。

「ま、待って。私、どうしたら…」

真里亜が両手でそっと文哉の胸を押し返した。

戸惑うようにうつむき、緊張で身体をこわばらせている。

文哉は少し身体を起こすと、真里亜の頭を撫でながら優しく見つめる。

「大丈夫、何も心配しないで。目を閉じてて」
「…うん」

素顔に頷いて目を閉じる真里亜の頬に、文哉は何度もキスをする。

少しずつ場所を移し、耳元から首筋、肩、そして鎖骨へ。

胸の前にあった真里亜の両手を握り、そっと開いてシーツの上で押さえる。

真里亜はうっとりと文哉に身を任せていった。

そんな真里亜の反応を見ながら、文哉はその身体の隅々に手を滑らせる。

まだ誰にも触れさせたことがない肌。
誰にも見せたことがない身体。

艷やかで美しく、一点の曇りもない真里亜の清らかな全身。

文哉は、まるで綺麗に積もった新雪に初めて足を踏み入れるような感覚を覚える。

汚してしまうような背徳感と、自分に純潔を捧げてくれる真里亜の尊さ、そして何よりも、真里亜への愛しさで胸がいっぱいになり、必ずこの手で守っていくと心に誓いながら、文哉は真里亜の身体に愛を刻み込んだ。
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