恋は秘密のその先に
「おー、お帰り!真里亜ちゃん。ニューヨークはどうだった?」
「はい、とても充実した時間でした。住谷さん、長らく仕事をお休みさせていただいて、ありがとうございました」
社長室から戻ってくると、真里亜は秘書課のオフィスに挨拶に行った。
12月28日とあって、他の皆はもう年末の休暇に入っており、オフィスにいたのは住谷だけだった。
久しぶりの再会に、二人は笑顔になる。
「真里亜ちゃんの方こそ、大きな仕事をこなして大変だったでしょ?お疲れ様。今日も休んだら良かったのに」
「いえ、大丈夫です。住谷さん、これは秘書課の皆さんへのお土産です。あと、これは住谷さんへ」
「えっ、俺に?何だろう。開けてもいい?」
「はい」
住谷はワクワクと、綺麗にラッピングされた包みを開ける。
「お!これは、書類ケース?スタイリッシュだなー。日本では見ないデザインだね。さすがはニューヨーク」
ブラックで艷やかな革張りのA4サイズのケースは、マグネットの被せ蓋が斜めになっており、ロイヤルブルーの縁取りもおしゃれだ。
「どう?仕事が出来る男って感じ?」
住谷は、小脇に抱えてドヤ顔をしてみせる。
「あはは!ええ、とってもお似合いです」
「ありがとう、真里亜ちゃん。大事に使わせてもらうよ」
「はい。あ、それと住谷さんにご相談があって」
「ん、何?」
真里亜は、手にしていたタブレットを操作しながら口を開く。
「ニューヨーク滞在中にお世話になったキュリアス USAの方々に、新年のご挨拶を兼ねてお礼の品を贈ろうと思いまして。海外の方々なので、やはり日本ならではの品を選びたいのですけど…」
リストアップした名簿をタブレットで見せながら、住谷に説明する。
「オフィスの社員の皆様にはお菓子を、お世話になったカレンさんとサムさんには何か別の物を、そしてCEOと奥様にも喜んでいただけるような品を贈りたいと思っています」
「なるほど。それなら秘書課でも、外国の方向けの贈り物のカタログをいくつか持ってるよ」
「本当ですか?!」
「ああ。一緒に選ぼうか?」
「はい!ありがとうございます」
住谷が頷いてデスクに向かった時、内線電話が鳴った。
「はい、秘書課の住谷で…ああ、副社長。お疲れ様です。どうかしましたか?え、私ですか?今、真里亜ちゃんと一緒にいますが何か…。は?はい、分りま…イテッ!」
どうしたのかと真里亜が目で尋ねると、住谷はやれやれと肩をすくめて受話器を置く。
「文哉のやつ…。『お前、今何してる?』って聞くから、真里亜ちゃんと一緒だって答えたら、『今すぐ副社長室に来い!』って叫んでガチャン!もう耳がキーン、だよ」
あはは、と真里亜は力なく笑う。
「仕方ない。暴れ回って電話を破壊される前に行こう。カタログ持って行くから、向こうで一緒に選ぼうか」
「はい。ありがとうございます」
二人は連れ立って副社長室に戻った。
「はい、とても充実した時間でした。住谷さん、長らく仕事をお休みさせていただいて、ありがとうございました」
社長室から戻ってくると、真里亜は秘書課のオフィスに挨拶に行った。
12月28日とあって、他の皆はもう年末の休暇に入っており、オフィスにいたのは住谷だけだった。
久しぶりの再会に、二人は笑顔になる。
「真里亜ちゃんの方こそ、大きな仕事をこなして大変だったでしょ?お疲れ様。今日も休んだら良かったのに」
「いえ、大丈夫です。住谷さん、これは秘書課の皆さんへのお土産です。あと、これは住谷さんへ」
「えっ、俺に?何だろう。開けてもいい?」
「はい」
住谷はワクワクと、綺麗にラッピングされた包みを開ける。
「お!これは、書類ケース?スタイリッシュだなー。日本では見ないデザインだね。さすがはニューヨーク」
ブラックで艷やかな革張りのA4サイズのケースは、マグネットの被せ蓋が斜めになっており、ロイヤルブルーの縁取りもおしゃれだ。
「どう?仕事が出来る男って感じ?」
住谷は、小脇に抱えてドヤ顔をしてみせる。
「あはは!ええ、とってもお似合いです」
「ありがとう、真里亜ちゃん。大事に使わせてもらうよ」
「はい。あ、それと住谷さんにご相談があって」
「ん、何?」
真里亜は、手にしていたタブレットを操作しながら口を開く。
「ニューヨーク滞在中にお世話になったキュリアス USAの方々に、新年のご挨拶を兼ねてお礼の品を贈ろうと思いまして。海外の方々なので、やはり日本ならではの品を選びたいのですけど…」
リストアップした名簿をタブレットで見せながら、住谷に説明する。
「オフィスの社員の皆様にはお菓子を、お世話になったカレンさんとサムさんには何か別の物を、そしてCEOと奥様にも喜んでいただけるような品を贈りたいと思っています」
「なるほど。それなら秘書課でも、外国の方向けの贈り物のカタログをいくつか持ってるよ」
「本当ですか?!」
「ああ。一緒に選ぼうか?」
「はい!ありがとうございます」
住谷が頷いてデスクに向かった時、内線電話が鳴った。
「はい、秘書課の住谷で…ああ、副社長。お疲れ様です。どうかしましたか?え、私ですか?今、真里亜ちゃんと一緒にいますが何か…。は?はい、分りま…イテッ!」
どうしたのかと真里亜が目で尋ねると、住谷はやれやれと肩をすくめて受話器を置く。
「文哉のやつ…。『お前、今何してる?』って聞くから、真里亜ちゃんと一緒だって答えたら、『今すぐ副社長室に来い!』って叫んでガチャン!もう耳がキーン、だよ」
あはは、と真里亜は力なく笑う。
「仕方ない。暴れ回って電話を破壊される前に行こう。カタログ持って行くから、向こうで一緒に選ぼうか」
「はい。ありがとうございます」
二人は連れ立って副社長室に戻った。