恋は秘密のその先に
「おはようございます、阿部さん」
「おはようございます。あの、副社長がまだいらっしゃってないようなんですけど。住谷さん、何かご存知ですか?」
「ああ、今起こしてきます」
は?と固まる真里亜を尻目に、住谷は部屋の壁にあるドアをノックした。
「文哉、入るぞ」
そう言ってから、ガチャッとドアを開けて入って行く。
(え、ここってそう言えば、副社長のプライベートルームに繋がってるんだっけ。なるほど、寝泊まり出来るようになってるのね)
開いたままのドアから少しだけ中を覗き見ると、まるでホテルのようなラグジュアリーな雰囲気の部屋が広がっていた。
ソファや、大きなベッドも少し見える。
「おい、起きろ文哉。朝だぞ」
「んー…、もう少しだけ」
かすかに聞こえてきた会話に、真里亜は背中がゾワッとする。
(えっ!!今の声、まさか鬼軍曹の?)
甘ったるく恋人に呟くような声色に、真里亜は顎が外れそうになる。
(う、嘘でしょ?あんな声であんなセリフを…)
「ほら、文哉!いい加減起きろ!」
「んー、分かったよ」
「シャワー浴びてから来いよ。朝食用意しとくから」
「ああ。サンキュー、智史」
住谷がこちらに向かってくる気配がして、真里亜は慌てて自分のデスクに戻る。
「阿部さん」
「はははいっ!」
「副社長、もうすぐ来ると思います。コーヒーをお願いしてもいいですか?」
「はいっ!喜んで!」
「お願いします。私は朝食を買って来ますので」
「了解であります!行ってらっしゃいませ!」
立ち上がって住谷を見送ったあと、真里亜はまだドキドキとしたままの胸に手をやる。
(ちょ、ちょっと待って。さっきの二人のやり取り、もうまさに恋人同士って感じだったわよね)
もしかしてあの二人って、そういう…?
(そうか、なるほど。色んな愛の形があるものね。だからかー、この間の住谷さんの言葉。ものすごく副社長のことを思いやっていたものね)
うんうんと、真里亜は大きく頷く。
(副社長の女嫌いも、そういうことだったのね。なんだー。それならそうと話してくれたら良かったのに)
事情が分かれば、副社長に対する敵対心も消えていた。
(そっかそっか。だったら私は二人を応援しよう!)
うん、と真里亜は拳を握りしめて頷いた。
「おはようございます。あの、副社長がまだいらっしゃってないようなんですけど。住谷さん、何かご存知ですか?」
「ああ、今起こしてきます」
は?と固まる真里亜を尻目に、住谷は部屋の壁にあるドアをノックした。
「文哉、入るぞ」
そう言ってから、ガチャッとドアを開けて入って行く。
(え、ここってそう言えば、副社長のプライベートルームに繋がってるんだっけ。なるほど、寝泊まり出来るようになってるのね)
開いたままのドアから少しだけ中を覗き見ると、まるでホテルのようなラグジュアリーな雰囲気の部屋が広がっていた。
ソファや、大きなベッドも少し見える。
「おい、起きろ文哉。朝だぞ」
「んー…、もう少しだけ」
かすかに聞こえてきた会話に、真里亜は背中がゾワッとする。
(えっ!!今の声、まさか鬼軍曹の?)
甘ったるく恋人に呟くような声色に、真里亜は顎が外れそうになる。
(う、嘘でしょ?あんな声であんなセリフを…)
「ほら、文哉!いい加減起きろ!」
「んー、分かったよ」
「シャワー浴びてから来いよ。朝食用意しとくから」
「ああ。サンキュー、智史」
住谷がこちらに向かってくる気配がして、真里亜は慌てて自分のデスクに戻る。
「阿部さん」
「はははいっ!」
「副社長、もうすぐ来ると思います。コーヒーをお願いしてもいいですか?」
「はいっ!喜んで!」
「お願いします。私は朝食を買って来ますので」
「了解であります!行ってらっしゃいませ!」
立ち上がって住谷を見送ったあと、真里亜はまだドキドキとしたままの胸に手をやる。
(ちょ、ちょっと待って。さっきの二人のやり取り、もうまさに恋人同士って感じだったわよね)
もしかしてあの二人って、そういう…?
(そうか、なるほど。色んな愛の形があるものね。だからかー、この間の住谷さんの言葉。ものすごく副社長のことを思いやっていたものね)
うんうんと、真里亜は大きく頷く。
(副社長の女嫌いも、そういうことだったのね。なんだー。それならそうと話してくれたら良かったのに)
事情が分かれば、副社長に対する敵対心も消えていた。
(そっかそっか。だったら私は二人を応援しよう!)
うん、と真里亜は拳を握りしめて頷いた。