恋は秘密のその先に
「副社長。そろそろ社長との会談のお時間です」
「ん?ああ、分かった」

真里亜に声をかけられ、文哉はパソコンをシャットダウンしてから立ち上がる。

ジャケットを広げてくれている真里亜に、ありがとうと礼を言って腕を通すと、真里亜は大きな瞳を更に見開いてじっと見つめてきた。

「え、何か?」

用心しながら文哉が尋ねると、真里亜は、
いえ、何でもありません、と視線を落とす。

(どうしたんだろう?彼女の一挙手一投足が気になる)

文哉は、常に真里亜の様子を気にかけるようになっていた。
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