恋は秘密のその先に
「副社長。その後、何か分かりましたか?」
22時になり、ひっそりと静まり返った部屋に住谷が入って来た。
真里亜は既に、20時には帰宅させていた。
「いや、それが何も。今日一日、注意深く見ていたんだがな」
文哉は、デスクに両腕を載せて思い返す。
「彼女の仕事ぶりは大したものだ。いつも隅に控えていながら、絶妙なタイミングで必要な書類を差し出してくれる。しかもきちんとまとめられた、完璧な資料を。時間の管理もしっかりしているし、とにかく細やかにフォローしてくれる。やはり産業スパイともなると、かなりのスキルを身につけているものなんだな」
「なるほど」
下を向いて肩を震わせながら、住谷が神妙に頷く。
「それで?副社長は彼女を一体どうするおつもりで?」
「うーん…。彼女の狙いがはっきり分かるまでは、様子を見るしかない。幸い向こうも、スパイだと俺に気づかれているとは思っていないみたいだし」
「そうですか。かしこまりました。私も今後の様子を楽しく…、いえ、注意深く見守っていきます」
「ああ、頼む。俺もなるべく彼女から目を離さないようにする」
「おおー、それはよろしいですね」
声が弾みそうになるのを必死で堪え、住谷は大きく頷いてみせた。
22時になり、ひっそりと静まり返った部屋に住谷が入って来た。
真里亜は既に、20時には帰宅させていた。
「いや、それが何も。今日一日、注意深く見ていたんだがな」
文哉は、デスクに両腕を載せて思い返す。
「彼女の仕事ぶりは大したものだ。いつも隅に控えていながら、絶妙なタイミングで必要な書類を差し出してくれる。しかもきちんとまとめられた、完璧な資料を。時間の管理もしっかりしているし、とにかく細やかにフォローしてくれる。やはり産業スパイともなると、かなりのスキルを身につけているものなんだな」
「なるほど」
下を向いて肩を震わせながら、住谷が神妙に頷く。
「それで?副社長は彼女を一体どうするおつもりで?」
「うーん…。彼女の狙いがはっきり分かるまでは、様子を見るしかない。幸い向こうも、スパイだと俺に気づかれているとは思っていないみたいだし」
「そうですか。かしこまりました。私も今後の様子を楽しく…、いえ、注意深く見守っていきます」
「ああ、頼む。俺もなるべく彼女から目を離さないようにする」
「おおー、それはよろしいですね」
声が弾みそうになるのを必死で堪え、住谷は大きく頷いてみせた。