恋は秘密のその先に
それからも同じようなやり取りを繰り返し、パーティーは無事にお開きとなる。

三人で挨拶回りをしてから、会場をあとにした。

「すみません、副社長よりも先に送っていただくなんて」

真里亜のマンションに着くと、ドアを開けてくれた住谷に頭を下げる。

「レディファーストなんですから、当然ですよ。どうぞお気になさらず」
「はい。ありがとうございました」

そして真里亜は、車の中の文哉を振り返った。

「副社長。送ってくださってありがとうございました」

文哉は肘をついて窓の外を見たまま、お疲れ、とボソッと呟く。

「お疲れ様でございました。それでは失礼いたします」

真里亜は、車が見えなくなるまでお辞儀をして見送った。
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