恋は秘密のその先に
「うわー、すごく綺麗!」
海沿いの高級ホテルに車を停めると、住谷は、天井が高くテラスから海も眺められるレストランに文哉と真里亜を案内した。
ガラス張りの窓から、キラキラと月明かりに照らさせた海が見えて、真里亜は目を輝かせる。
「素敵なお店ですね」
「お気に召しましたか?真里亜ちゃん」
「はい、とっても」
真里亜は住谷と微笑み合う。
住谷にオーダーを任せたところ、お肉やお魚、デザートもとても美味しく、真里亜は久しぶりの贅沢な時間にお腹も心も満たされた。
「はあー、とっても美味しかったです」
「それは良かった。真里亜ちゃん、本当に美味しそうに食べてくれて、俺も嬉しかったよ」
食後のコーヒーはテラスに用意してもらい、海風を感じながら優雅なひとときを楽しむ。
夏の初めの夜風が少しひんやりしていて心地良い。
「本当に素敵なお店ですね。住谷さん、ここにはよくいらっしゃるんですか?」
「ん?ああ。デートで何度かね」
え、デート?!と、真里亜は途端に真顔に戻る。
(そ、それは副社長と…ってことよね?大変!お二人にとっては思い入れのあるレストランなのに、私なんかがお邪魔しちゃって)
今もまさに、自分は二人のデートを邪魔しているのだと思うと、真里亜は急にソワソワと落ち着かなくなった。
「あ、あの。私、お化粧室に行って来ます」
バッグを手に、そそくさと席を立つ。
(はあー、どうしよう。お料理が美味しくてつい忘れてたけど、そう言えば副社長、食事中もずっと無言だったものね)
きっと自分がデートを邪魔しているせいだ、と思うと、真里亜は二人のもとに戻るのも気が引けた。
やたらゆっくりメイクを整えると、渋々テラスの席に戻る。
するとテラスの柵に手を置いて、肩を並べて佇んでいる二人の姿が見えた。
(ひゃー!スタイルのいいイケメンが二人並んでる。絵になるわー!)
声をかけそびれて少し離れた所から見つめていると、あのー…と若い女の子が二人、モジモジと近づいて行く。
「あの、私達二人で食事しに来たんですけど、良かったらお茶だけでもご一緒しませんか?」
頬を少し赤らめながら、可愛らしい雰囲気の子が話しかけた。
「あー、ごめん。俺達、もう出るところなんだ」
住谷がやんわり断るが、女の子は引き下がらない。
「あ、それなら、別のお店にこれからご一緒に…」
「残念だけど、それは無理だな。今夜は俺達、とびきりのお嬢様を連れてるから」
そしてふと真里亜に気づくと、
「お、来た来た。真里亜ちゃん!」
と手招きする。
(ひ、ひえーー!!住谷さんたら、なんてことを!!)
女の子達の視線が怖くて、真里亜はくるりと向きを変え、他人のフリをして遠ざかる。
「ええ?ちょっと、真里亜ちゃん!」
後ろから聞こえてくる住谷の声に、ごめんなさい!と心の中で侘びた時、ふいに誰かにグッと肩を抱かれた。
「帰るぞ」
え…と真里亜が顔を上げると、文哉が真っ直ぐ前を見たまま真里亜の肩を抱き寄せて歩き出す。
「ああ!ずるいぞ、文哉!」
住谷は抗議の声を上げると、女の子達に
「ごめんね、そういう訳だから」
と謝り、慌ててあとを追いかけて来た。
「なんだよもう。お前、いっつもこういう時だけ真里亜ちゃんを利用して」
それを聞いて、文哉はハッとしたように真里亜から手を離した。
「すまん、悪かった」
「いえ、大丈夫です」
(私だって、お二人のデートの邪魔してるものね。利用してもらっておあいこだわ)
真里亜は文哉に、にこやかに笑ってみせた。
海沿いの高級ホテルに車を停めると、住谷は、天井が高くテラスから海も眺められるレストランに文哉と真里亜を案内した。
ガラス張りの窓から、キラキラと月明かりに照らさせた海が見えて、真里亜は目を輝かせる。
「素敵なお店ですね」
「お気に召しましたか?真里亜ちゃん」
「はい、とっても」
真里亜は住谷と微笑み合う。
住谷にオーダーを任せたところ、お肉やお魚、デザートもとても美味しく、真里亜は久しぶりの贅沢な時間にお腹も心も満たされた。
「はあー、とっても美味しかったです」
「それは良かった。真里亜ちゃん、本当に美味しそうに食べてくれて、俺も嬉しかったよ」
食後のコーヒーはテラスに用意してもらい、海風を感じながら優雅なひとときを楽しむ。
夏の初めの夜風が少しひんやりしていて心地良い。
「本当に素敵なお店ですね。住谷さん、ここにはよくいらっしゃるんですか?」
「ん?ああ。デートで何度かね」
え、デート?!と、真里亜は途端に真顔に戻る。
(そ、それは副社長と…ってことよね?大変!お二人にとっては思い入れのあるレストランなのに、私なんかがお邪魔しちゃって)
今もまさに、自分は二人のデートを邪魔しているのだと思うと、真里亜は急にソワソワと落ち着かなくなった。
「あ、あの。私、お化粧室に行って来ます」
バッグを手に、そそくさと席を立つ。
(はあー、どうしよう。お料理が美味しくてつい忘れてたけど、そう言えば副社長、食事中もずっと無言だったものね)
きっと自分がデートを邪魔しているせいだ、と思うと、真里亜は二人のもとに戻るのも気が引けた。
やたらゆっくりメイクを整えると、渋々テラスの席に戻る。
するとテラスの柵に手を置いて、肩を並べて佇んでいる二人の姿が見えた。
(ひゃー!スタイルのいいイケメンが二人並んでる。絵になるわー!)
声をかけそびれて少し離れた所から見つめていると、あのー…と若い女の子が二人、モジモジと近づいて行く。
「あの、私達二人で食事しに来たんですけど、良かったらお茶だけでもご一緒しませんか?」
頬を少し赤らめながら、可愛らしい雰囲気の子が話しかけた。
「あー、ごめん。俺達、もう出るところなんだ」
住谷がやんわり断るが、女の子は引き下がらない。
「あ、それなら、別のお店にこれからご一緒に…」
「残念だけど、それは無理だな。今夜は俺達、とびきりのお嬢様を連れてるから」
そしてふと真里亜に気づくと、
「お、来た来た。真里亜ちゃん!」
と手招きする。
(ひ、ひえーー!!住谷さんたら、なんてことを!!)
女の子達の視線が怖くて、真里亜はくるりと向きを変え、他人のフリをして遠ざかる。
「ええ?ちょっと、真里亜ちゃん!」
後ろから聞こえてくる住谷の声に、ごめんなさい!と心の中で侘びた時、ふいに誰かにグッと肩を抱かれた。
「帰るぞ」
え…と真里亜が顔を上げると、文哉が真っ直ぐ前を見たまま真里亜の肩を抱き寄せて歩き出す。
「ああ!ずるいぞ、文哉!」
住谷は抗議の声を上げると、女の子達に
「ごめんね、そういう訳だから」
と謝り、慌ててあとを追いかけて来た。
「なんだよもう。お前、いっつもこういう時だけ真里亜ちゃんを利用して」
それを聞いて、文哉はハッとしたように真里亜から手を離した。
「すまん、悪かった」
「いえ、大丈夫です」
(私だって、お二人のデートの邪魔してるものね。利用してもらっておあいこだわ)
真里亜は文哉に、にこやかに笑ってみせた。