恋は秘密のその先に
「おい、もう22時だ。上がれ」
資料を見ながらカタカタとパソコン作業をしている真里亜に、文哉がぶっきらぼうに声をかける。
「あ、いえ。まだ途中なので…」
「夕べもそう言って遅くなった。今日はもう上がれ」
でも…と真里亜がためらうと、副社長命令だ、と冷たく言い放たれる。
仕方なく真里亜は片付けをして立ち上がる。
「それでは、お先に失礼させていただきます」
「ああ、お疲れ様」
パタンと真里亜がドアを閉めると、部屋が一気に静まり返った。
(はあ…。なんだか静かすぎて落ち着かないな)
いつの間にか、真里亜と一緒に仕事をするのに慣れてしまっていた。
静けさの中、一人でいると心許なくなる。
(いやいや、そんなことを考えてる場合か?この1ヶ月は勝負の月だ)
己に気合いを入れ直し、またパソコンを操作し始めた時だった。
(ん?なんだ?)
急に見慣れない画面が立ち上がり、文哉は首をひねる。
が、すぐにハッとして急いでキーボードに両手を走らせた。
(くそっ!ハッカーか)
誰かがハッキングしようとしているのを察知し、文哉は必死でブロックをかける。
何度も立ち上がるWARNINGの文字と格闘し、ようやく落ち着くと、ふうと息を吐いた。
(一体誰だ?コンペ前の大事な時期にハッキングなんて…)
そして、ふと嫌な気持ちが蘇った。
(コンペのライバル企業?まさか、産業スパイ…)
頭の中に浮かんだ真里亜の顔を、文哉は大きく首を振って打ち消そうとした。
資料を見ながらカタカタとパソコン作業をしている真里亜に、文哉がぶっきらぼうに声をかける。
「あ、いえ。まだ途中なので…」
「夕べもそう言って遅くなった。今日はもう上がれ」
でも…と真里亜がためらうと、副社長命令だ、と冷たく言い放たれる。
仕方なく真里亜は片付けをして立ち上がる。
「それでは、お先に失礼させていただきます」
「ああ、お疲れ様」
パタンと真里亜がドアを閉めると、部屋が一気に静まり返った。
(はあ…。なんだか静かすぎて落ち着かないな)
いつの間にか、真里亜と一緒に仕事をするのに慣れてしまっていた。
静けさの中、一人でいると心許なくなる。
(いやいや、そんなことを考えてる場合か?この1ヶ月は勝負の月だ)
己に気合いを入れ直し、またパソコンを操作し始めた時だった。
(ん?なんだ?)
急に見慣れない画面が立ち上がり、文哉は首をひねる。
が、すぐにハッとして急いでキーボードに両手を走らせた。
(くそっ!ハッカーか)
誰かがハッキングしようとしているのを察知し、文哉は必死でブロックをかける。
何度も立ち上がるWARNINGの文字と格闘し、ようやく落ち着くと、ふうと息を吐いた。
(一体誰だ?コンペ前の大事な時期にハッキングなんて…)
そして、ふと嫌な気持ちが蘇った。
(コンペのライバル企業?まさか、産業スパイ…)
頭の中に浮かんだ真里亜の顔を、文哉は大きく首を振って打ち消そうとした。