恋は秘密のその先に
第十章 ピンチと別れ
「スケジュール、これだとザックリすぎる。先方とも相談して、もっと細かく詰めておいて」
「はい、かしこまりました」
「それと、予定通り順調にいくとは限らない。あまりタイトにしないでおいてくれ」
「承知しました」

月曜日になると、また怒涛の日々が始まった。

コンペで選ばれて喜んだのも束の間、ここからがいよいよ本番なのだ。

プレゼンよりも遥かにプレッシャーがかかり、真里亜も文哉の指示に、より一層気を引き締めて取り組んでいた。

初めのうちは、先方の担当者とどうコミュニケーションを取ればいいのか手探りで、話が二転三転することもあったが、何度も現地に足を運んで根気よく打ち合わせを重ねていくうちに、スムーズにやり取り出来るようになってきた。

先方がこちらに、実際のセキュリティシステムを確認しに来た時には、真里亜が丁寧に自社ビル内を案内して回った。

何気ない会話をするうちに、互いに打ち解け、それが仕事にも良い影響を与える。

だんだんと、クライアントというよりは同じプロジェクトメンバーのような雰囲気で、順調に作業は進んでいった。
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