恋は秘密のその先に
「うーん、イマイチよく分からんのだが」
低く響く声が聞こえてきて、会議室の空気が一瞬で凍りつく。
驚いて顔を上げると、皆がその声の主を見ていた。
(あの方は、キュリアス ジャパンの社長…)
真里亜の顔から血の気が引いていく。
「なんだか難しい話ばかりじゃないか。システムの仕組みなんぞ、詳しく言われても分からん。それに、フェーズごとに分かれている、とか言われてもなあ。ワシは一体、どこをどう通ったらいいのやら。毎日ちゃんと社長室までたどり着けるのか?」
「あ、はい。もちろんでございます。社長室までのセキュリティシステムは…」
エンジニアのリーダーが、もう一度スクリーンに資料を映しながら手順を説明しようとすると、社長は片手を挙げて遮った。
「その資料はさっき見た。それでも分からん」
「失礼いたしました。それでは、これから実際にビルの中をご案内しながら操作を…」
だが社長は、憮然とした表情で何も返事をしない。
部屋中の皆が、ゴクリと唾を飲み込んで身を固くする。
誰も動けず、何も言えない。
なんとかしなければと文哉が歩み出ようとした時、真里亜がスッとエンジニアリーダーの隣に立った。
真里亜ちゃん…?と、リーダーが小さく呟く声を聞きながら、真里亜はゆっくりとお辞儀をしてから口を開いた。
低く響く声が聞こえてきて、会議室の空気が一瞬で凍りつく。
驚いて顔を上げると、皆がその声の主を見ていた。
(あの方は、キュリアス ジャパンの社長…)
真里亜の顔から血の気が引いていく。
「なんだか難しい話ばかりじゃないか。システムの仕組みなんぞ、詳しく言われても分からん。それに、フェーズごとに分かれている、とか言われてもなあ。ワシは一体、どこをどう通ったらいいのやら。毎日ちゃんと社長室までたどり着けるのか?」
「あ、はい。もちろんでございます。社長室までのセキュリティシステムは…」
エンジニアのリーダーが、もう一度スクリーンに資料を映しながら手順を説明しようとすると、社長は片手を挙げて遮った。
「その資料はさっき見た。それでも分からん」
「失礼いたしました。それでは、これから実際にビルの中をご案内しながら操作を…」
だが社長は、憮然とした表情で何も返事をしない。
部屋中の皆が、ゴクリと唾を飲み込んで身を固くする。
誰も動けず、何も言えない。
なんとかしなければと文哉が歩み出ようとした時、真里亜がスッとエンジニアリーダーの隣に立った。
真里亜ちゃん…?と、リーダーが小さく呟く声を聞きながら、真里亜はゆっくりとお辞儀をしてから口を開いた。