不器用な神野くんの一途な溺愛
じゃなくて……っ!

そう、希春先輩と言えば!


『その顔……やっぱり知らなかったんだな。さっきお前の世話焼いてた交通委員長。そいつは――俺の兄貴だ』

『 (どうして教えてくれなかったんですか! 希春先輩〜っ!!) 』


神野くんと兄弟だったこと――

これを本人から聞いた時の衝撃は忘れないよ……っ。


すると、全てを見透かしたように希春先輩は「アハハ!」と笑って、いつの間にか自販機で買っていたジュースを私に渡した。


「はい、莉子ちゃんの分」

「へ……?」

「斗真と兄弟だって黙ってたお詫び。今日莉子ちゃんのクラスに謝りに行ったんだけどいなくて。

諦めて一人帰ってたところに莉子ちゃん見つけてさ。声かけようとしたら、亀井さんが先に話しかけちゃったんだよ」

「 (そ、そうだったんだ……) 」


委員会でコケた時と同じで、また情けない姿を見られちゃったなぁ……。

恥ずかしさで俯きながら、希春先輩からジュースを受け取った。
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