不器用な神野くんの一途な溺愛

「 (そっか、先輩は3年生だから今年は受験だね……) 」


急に悲しくなって、俯く。

先輩から貰ったジュースの周りに水滴が、まるで泣いているようにポトポト垂れていた。

先輩は、県外の大学に行っちゃうのかな……。


「莉子ちゃん?」

「!」

「大丈夫?」

「だ、だい……じ、ぶ……で、す」

「そっか」


座っている私を覗き込む、希春先輩。

「じゃあ貼るね」と言って上げた右手には、絆創膏が握られていた。


「これ、ネコの絆創膏。可愛いでしょ〜前コンビニで見つけて、つい買っちゃったんだよね」


ご機嫌な希春先輩は、慣れた手つきで私の頬に絆創膏を貼る。ピンクのそれは、私の蒸気した頬に上手く馴染んだ。
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