不器用な神野くんの一途な溺愛
「委員会の時から、莉子ちゃんが一生懸命に頑張ってる気がして。でも、さっきの亀井さんの言葉に、ポッキリ折れちゃったんじゃないかと思ってね」
「 (希春先輩……) 」
「莉子ちゃんは強いね。さすが激務と言われる交通委員の一員なだけある!」
「ぷっ……ハハ」
なんですか、それ――
優しい希春先輩。
久しぶりに会った希春先輩も、やっぱり大好きだった。
「そうだ、元交通員の子が迷惑をかけちゃったから、委員長の俺にお詫びをさせてほしいな」
「お、び……?」
「そう」
コクリと頷いた希春先輩。その顔に浮かぶのは、いつもの優しい笑み。
だけど……希春先輩が亀井さんのお詫びをしなくても、いいよね? それは絶対に違う気がする。希春先輩は、そんな事をしなくていいはずだもん。
お詫びはいいです、と言おうとした私。
だけど――「ストップ」と、希春先輩が、私の口の前で大きな手のひらを見せた、