不器用な神野くんの一途な溺愛
「 (あ、そっか……) 」
その姿を見ていると、何故だか分かる。
神野くんが私の絆創膏に朝から気づいた理由――私が、亀井さんを気にしてオドオドしていたからだ。
私の些細な変化も見過ごさないでいてくれる……神野くんは、どんな時も私を応援してくれてるんだね。
「 (ありがとう、神野くん) 」
風でなびく髪を押さえながら、ゆっくり答えた。
昨日亀井さんに話しかけられたこと。
亀井さんが誤解しているようだったこと。
その訂正が出来なかったこと。
喋れない自分が嫌で、悔しかったこと。
ゆっくり、亀よりもゆっくり話す私を、ただジッと聞いてくれる神野くん。
亀井さんが「何に」勘違いしているか、その内容は伏せた。神野くんが聞いていて楽しい話ではないし……。
それに、希春先輩と会ったことは伝えたけど、この絆創膏を貰った事は伏せて伝えた。
そして、全て話終えると。
神野くんは「そーかよ」と言って、今度は私の方を見た。