不器用な神野くんの一途な溺愛

ガタッ


神野くんは自分の席から離れ、私に近寄る。

そして私のすぐ真横に来、机にドンと乱暴に手を置いて、神野くんの端正な顔を近づけた。

そして前髪と前髪が当たるくらいの距離まできて、

それから、


「お前が悪ぃんだからな」

「え――」


一言呟いて、私の頬にその唇を当てた。

そっちは、ネコの絆創膏が貼ってある頬。
そこは、ネコの絆創膏が貼ってある位置。

その場所に――神野くんのキスは落とされた。


「 (え……や、わらかい……唇?

え、神野くんの?

な.......なんで??) 」


神野くん――?

訳が分からなくて、頭が回らなくて、ただ戸惑う。

肝心の神野くんは、まだ私の頬にキスしたままで……って、あれ?


なんか長くない?

それに、くすぐったい?

頬に当てられた唇が動いているような……


「 (神野くん、本当にキスしてるの……?) 」


僅かに違和感を覚えた、その時だった。
< 121 / 425 >

この作品をシェア

pagetop