不器用な神野くんの一途な溺愛
ガタッ
神野くんは自分の席から離れ、私に近寄る。
そして私のすぐ真横に来、机にドンと乱暴に手を置いて、神野くんの端正な顔を近づけた。
そして前髪と前髪が当たるくらいの距離まできて、
それから、
「お前が悪ぃんだからな」
「え――」
一言呟いて、私の頬にその唇を当てた。
そっちは、ネコの絆創膏が貼ってある頬。
そこは、ネコの絆創膏が貼ってある位置。
その場所に――神野くんのキスは落とされた。
「 (え……や、わらかい……唇?
え、神野くんの?
な.......なんで??) 」
神野くん――?
訳が分からなくて、頭が回らなくて、ただ戸惑う。
肝心の神野くんは、まだ私の頬にキスしたままで……って、あれ?
なんか長くない?
それに、くすぐったい?
頬に当てられた唇が動いているような……
「 (神野くん、本当にキスしてるの……?) 」
僅かに違和感を覚えた、その時だった。