不器用な神野くんの一途な溺愛
「どうしてって、俺がお前に聞いたら、答えてくれんのかよ」

「……え?」

「言えよ。どうして兄貴を好きになったんだ」

「そ、れ……は……」


さっき「何があった」と聞いてくれた時は、いくら私がゆっくり話しても、ずっと待っていてくれた。

けど、今回は違うみたい。


「ばーか……冗談に決まってんだろ」

「えっ」

「聞くわけねーよ、そんなこと」


そして一度も振り返らずに、神野くんは扉の取手に手をかける。


だけど……

ドアを開ける、その一瞬のことだった。


「俺なら、お前に絆創膏なんて貼らねーよ。お前を守る。傷一つ付けさせねぇ。

だから……早く俺を見ろよな」


その時に振り返った神野くんの顔は、

無理やり絆創膏を剥がされた私の頬の色と、

とてもよく似ていた――
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