不器用な神野くんの一途な溺愛
『あっ、痛っ……!』
「っ!」
瞬間、さっきの光景がフラッシュバックする。
小野宮の頬に貼られた絆創膏。それを俺が取った。しかも、
口で。
「(バカか俺は……っ)」
急に顔が熱くなって、その場に座り込む。
中島が「大丈夫か!?」とすぐに駆け寄って来た。ついでに、周りにいた女子も数人、便乗して駆け寄ってくる。
中島、お前なんでいるんだよ、部活行かねーのかよ
いつもならこう言うが、うぜぇ女子から俺の情けない顔を隠すには、中島の存在が不可欠だった。
「ね、ねぇ王子大丈夫なの? 中島、あんた何かしたんじゃ……?」
「バカいえよー。俺なんもしてないって。勝手に倒れたんだよ」
「……」
普段なら「倒れてねー」とか言い返すが、ダメだ。中島の声よりも、今は、