不器用な神野くんの一途な溺愛
『小野宮が可愛いことするから、つい意地悪でそー言っちまうんだよ』

『俺がお前にキツいことを言っても、それは本心じゃねー。ただ、からかってるだけだ』


気づいたら喋っていた。

あの時の小野宮は驚いた顔をしていたが、一番驚いたのは俺だ。

あの小野宮だぞ?

前は「嫌い」とまで思っていた、あの小野宮だぞ?


『じゃ、もう今日は解散するぞ。

もちろんお前が “ バイバイ”ってちゃんと口で言えたらな』


場の空気を戻そうと急いで話題を変えてみたが、俺の気持ちは戻らなかった。


俺の目線も、俺の気持ちも……気づいたら小野宮の方へ向いている。

くそ、気づいた時は遅ぇじゃねーか。もう好きになってんじゃねーか。


だから今日だって――気づいちまったんだ。

アイツが教室に入ってきた瞬間に、あの絆創膏が目に入っちまったんだよ。



なんで兄貴の絆創膏がお前の頬に貼ってあんだよ――ってな。


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