不器用な神野くんの一途な溺愛
両目にクマをつけた寝不足な顔で、7時に校門に到着する。

傘をさしているから分かりづらいけど、ざっと20人くらいはいるのかな?


「人数揃ってるようなので、各自ポイントに移動してください。傘の先が小学生に当たらないよう気をつけてくださいね」


傘の集団の中から一人だけ声がする。

確かこの声.......委員会の時に教壇に立っていた女の人の声?

結局姿は見えないまま、傘はバラけていく。前、神野くんが渡してくれた資料を見たけど、私地図読めなくて.......


「 (どこに行けばいいのか、分からない.......!) 」


ペアの人に聞きたかったけど、知らない名前の人だったし、顔も分からないから、聞きようがないよ.......!


「 (だ、誰か.......っ) 」


その時だった。

グイッと、私の持つ傘が引っ張られる。


「!?」


急な事でビックリしたけど、引っ張られた方向に振り向くと、そこには――


「来いよ。しばらくは俺と一緒になったから安心しろ。案内してやるよ」


悩みの種の、神野くんがいました。
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