不器用な神野くんの一途な溺愛
「さっきお前に抱きしめられたの、思い出してた」

「っ!」


ニコッと笑われると.......弱い。

前にとろける笑顔を見せられた時もドキッとしたけど、普段あんなにツンケンしてる人が見せる笑顔って.......なんか、破壊力がすごい。


「だ、きしめ.......て、ない」

「そーゆーことにしといてやるよ。あ、でもな」


神野くんは私がさしている傘をたたんで、自分の傘を持ち上げ2人の上にさす。

未だ密着しているこの距離は、1つの傘で充分過ぎるほどだった。


相合傘――


私は一生することないと思っていたのに、今、神野くんと.......。


「~っ!」


突然はずかしくなって、顔をそらす。

だけど神野くんの手が、私に「視線を外すな」と言わんばかりに顔に手を添えたから、再び視線が交わった。

そして、また、前髪同士が触れ合う距離になる。
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