不器用な神野くんの一途な溺愛
「お前が兄貴を好きなのは分かってる。俺を恋愛感情で好きじゃないのも、分かってる」

「え.......」

「でも諦めねぇって決めたんだ。お前が俺を見てくれる、その時まで」

「で.......で、も.......」


本当にそれでいいの.......?

私、神野くんのお兄さんが好きで、しかも、この先神野くんを好きになる保証はどこにもないんだよ.......?


けど神野くんは、また私の思っていることが分かったのか「いいんだよ」と笑った。


「俺がそうしたいっつってんだから、いーんだよ」


撫でられた頭から伝わる温もりに、私は思い出していた。


『俺の思ったことが俺の希望だから、莉子ちゃんさえ良ければ叶えてやってよ』


いつか、希春先輩もそう言ってくれた。
いつか、希春先輩もそう頭を撫でてくれた。

2人の共通点に、胸が締め付けられる。
< 143 / 425 >

この作品をシェア

pagetop