不器用な神野くんの一途な溺愛
「 (この唇が.......信じられないよ.......) 」


まるで思春期の男子みたいに、頭の中はそればっかりになってる。

私、いつの間にこんな、はしたない子になっちゃったんだろう.......。


「 (そういえば、神野くんは大丈夫だったのかな.......私よりも濡れてたけど) 」


2人手を繋いで走った時、神野くんは私に傘をさしてくれていて、自分には向けなかった。

私も傘を持ってるから、それをさせばよかったのに、


『貸せよ。傘なんて持ってたら、お前絶対コケるだろ』

『こ、こけ、な.......』

『いーから。これ被って走ってろ』


バサッと、自分がきていたシャツを惜しみなく脱いで私の頭からかけた。

神野くんは幸いにも黒のインナーを着ていて裸にはならなかったけど、でも、あの薄着で雨に打たれたら、絶対に風邪引くと思う.......。

そんなことを考えていた時だった。


ピンポンパンポーン


「1年の神野斗真、至急B棟2階会議室まで着なさい」

< 150 / 425 >

この作品をシェア

pagetop