不器用な神野くんの一途な溺愛
「心配すんなよ、ばーちゃん。小野宮、今すげー頑張ってんだ」

「……というと?」

「喋る特訓を俺としてるんだよ。小野宮が、今のままじゃ嫌だって、変わりてーって、そう自分から言ったんだ」

「!」


振り向くと、ばーちゃんの目が揺れ動いていた。少し泣きそうになってる。


「こんな話をお前にしたのはな……今の莉子を好きになってくれたお前だからこそ、頼もうと思ってたんだ。

莉子が、前の莉子のように喋れるようにしてくれと」

「そうかよ」



ズズ……と泣くばーちゃんに、その辺にあったティッシュを一枚取って渡す。

呼び出しかかったし、昼休みが終わらねーうちに戻らねーとな――ドアの方へ向かった。
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