不器用な神野くんの一途な溺愛
「か、んの、くん……っ」
私のことをあんなに想ってくれて、私のことをたくさん考えてくれて……
私、絶対に喋れるようになりたい。
神野くんの期待に、応えたいよ……っ。
「莉子? そこにいるのかね?」
おばあちゃんの声が聞こえる。私は意を決して、階段を下りた。
おばあちゃん、これからは沢山話そうね。
今まで蓋をしていた思いも全部全部、言葉に乗せて伝えてたい。
「おば、あ、ちゃ……」
「莉子……少しは調子は良くなったか?」
「……うんっ」
おばあちゃんの元に駆け寄ると、おばあちゃんは私の頭を撫でてくれた。そして、
「莉子もやるねぇ。あんな男前を惚れさせるなんて」
「お、おば、あちゃ……っ!」
「ちょっと気に食わないヤツだが、あーゆー男は優しくしてくれるってもんさ。昔はじーちゃんも、」
「わかっ、わかっ、た……から!」
話し方はまだまだ流暢じゃないけど、おばあちゃんとの間に出来ていた溝が、少し埋まった気がする。
神野くん、ありがとう。
今度神野くんに会ったら、たくさんたくさん、お礼を言いたい。
神野くん、
あなたに早く会いたいよ――