不器用な神野くんの一途な溺愛

「うっ……」



なぜか泣いた。

おい待てよ小野宮。お前、今日意味が分かんねーよ。



「(どうすりゃいんだよ、とりあえず頭撫でときゃいーのか……?)」



オズオズと手を伸ばし、小野宮の頭を撫でる。すると小野宮が俺の手に、自分の手を重ねた。


そして必死に伝えてきた。

今の、自分の想いを――



「この手を、思い、出しちゃうの」

「あ?」

「好きな希春先輩が、元気ないのに、そんな、時でも……

神野くんの、顔を、見たら……神野くんで、いっぱいに、なっちゃう……」

「っ!」

「こんな薄情な、私が、いるなんて……知らなくて、驚いて……っ」



俺の手から自身の手を離した後、両手で顔を覆う小野宮。

その姿を見て、なんとなく察した。
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