不器用な神野くんの一途な溺愛
今日最初に会った時に小野宮が泣いたのは、俺に会えなくて寂しかったから「だけ」じゃねぇ。

自分の中にいる「薄情な自分」に気づいちまって、ショックだったんだろ。



「(ってか小野宮、お前、授業は簡単にサボるくせに、こんな事には真面目かよ)」



だって、そうだろ。

コイツが今喋った事って、別の言い方で言えば――


兄貴の事よりも俺の事を考えちまうって事だろ?



「(……は?いや、待て待て)」



自分の言葉に自分が慌てる。

待て、落ち着け。俺。


だって、ついさっき「全然俺のこと好きじゃねーな」って確信したばっかだろ?



「(でも、クソ……期待しちまう)」



だって、聞き間違いじゃねーんだよ。

小野宮が言ったのを、この耳で聞いたんだ。


目の前にいる小野宮が、俺の事――

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