不器用な神野くんの一途な溺愛
「っ!」



瞬間、顔から火が出たように熱くなる。

うわ、だせぇ……。

ぜってー顔を見られねぇようにしねーと……っ。



「神野くん……?」

「なんだよ、なんでもねーよ」

「で、でも、すごい汗……これ」



そう言って、白い手で握ったハンカチを差し出す小野宮。

恥ずかしさでそれどころじゃねー俺は、ハンカチじゃなくて白い手を迷いなく掴む。


そして、



「今近づいたらキスするからな」



と牽制をして、自分の体裁を守った。

小野宮が素早く俺から離れたのを確認して、念の為、聞いておく。



「なぁ、お前さ」

「な、に……?」



変な構えで俺からの質問に答える小野宮。そんな事で笑えてくるのは、俺の機嫌がいいからだろーな。


「聞きてーんだけど」と、ニヤけた顔を隠しながら尋ねる。
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