不器用な神野くんの一途な溺愛
「今どれくらい俺のこと好きになってんだよ?」

「え……?」



遠慮がちに笑う小野宮。その頭上に「?」が飛んでいるのが見える。


瞬間、頭に隕石が当たったかのような衝撃を覚えた。


だって、おい、嘘だろ……。



「(本人が無自覚とか、そんなんありかよ……っ)」



どうやら小野宮は兄貴への恋に一生懸命になりすぎてて、自分の気持ちが俺に向きつつある事に気づいてねぇらしい。


いくら好きになりかけてもらったとしても、本人が「その気持ち」に気づいてねーんじゃ、そっから進展なんてあるわけねー。


俺が言われて嬉しい言葉も、されて嬉しい態度も――

小野宮にとっては恋の「こ」の字もねぇ無意味な事だ。



「(前途多難すぎるだろ……)」



小野宮の中で俺がまだまだ友達の範疇に居ることが分かり、さっきのは全てぬか喜びだったと思い知らされる。

体の力が、抜けていく……。
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