不器用な神野くんの一途な溺愛
「はぁ……」

「か、神野くん!どうし、たのっ?」

「なんでもねーよ……」



誰でもいい。

誰かこいつに「それが恋なんだ」って教えてやってくれ――







一限目をサボった後の授業は、きちんと出た。

そして昼休みになり、ある所に来ている。



ガラッ



ある教室の扉を開けて、中を見回す。

近くの男子が「なんで一年がここにいんだよ」と不思議そうにしていると、女子が「王子!なんでここに〜?」と声を上げた。

話す義理はねぇ。無言で中に入って、足早に目当ての席まで歩いた。

すると、立ち止まった瞬間に、



「珍しいね、斗真が俺の教室に来るなんて」



と話しかけてきた。



「……こっちを見もせずに、よく俺だって分かったな。


兄貴」



すると、今まで何やら書き物をしていた手をピタリと止めて、兄貴が俺を見る。

そして「分かるよ」と言った。
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