不器用な神野くんの一途な溺愛
「斗真……今の、話って……」

「あ?本人から聞いただろ。事実だよ」

「え……?」



まるで乙女みてーに顔を赤らめる兄貴。

いやちげーだろ。やる事が。



「自分に惚れた女を泣かせておいて、なに呆けてんだよ。追いかけろよ」


「え、泣いてた?」


「副委員長のどこ見てたんだよ……そうやって三年間、副委員長に目を向けなかったんだな」

「で、でも俺は……っ」



「でも」も「へったくれ」もねーだろ。

俺は兄貴を見損なって、教室から出る。



「もういい。俺が探す」



兄貴が俺を止める事は、なかった。
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