不器用な神野くんの一途な溺愛
「そういや弟くん、二年の授業にはついていけてるの?」

「まぁそこそこ」

「ふーん、可愛くないわね」

「うっせ」



境地が似ているだけあって、副委員長との会話が弾む。気を使わないから、話していて楽だ。


男友達みてーなもんだな――そんなことを思っていた。



だけど、この瞬間。

俺は知らなかった。



「 (あれ、神野くん……?) 」



まさか今までの光景を――副委員長と仲睦まじく話している光景を、小野宮本人が見ていたなんて知る由もなかった。


そして、


まさかこの出来事が、小野宮の潜在的な気持ちを引き出すきっかけになる事も、



「何でジュースが首についてるのよ」

「仕方ねーだろ。炭酸なんだよ」

「あ、動かないで。今ティッシュで拭くから」



この時の俺は、


知る由もなかったんだ。




*神野斗真*end


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