不器用な神野くんの一途な溺愛
「 (まさか、キス……っ?) 」



ザワっと、大きな音を立てて心がざわめく。

そしてまた、体の内側が火をつけたように熱くなり、



パタパタパタ――



私はひたすら、うちわを扇ぐ。もちろん授業の内容は、全く耳に入ってこなかった。



――その後の授業は、もぬけの殻の状態で過ごして……


やっと放課後。



「 (なんだか、疲れたな)」



神野くんと副委員長を見かけてから、体が重くなった。

重力に逆らえないような、そんな感じ。


シャーペンを持つ手もだるい気がするし、いつもは軽いスリッパでさえ脱ぎたくて仕方ない。


なんか、居心地悪い。

神野くんの隣に副委員長がいた。それだけの事って、思えばいいのに。
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