不器用な神野くんの一途な溺愛
「もう一回、聞くぞ」

「え……あっ」



グイッ



うちわを持っていた手が、力強くて大きな手に引っ張られる。

私は簡単に体勢を崩して、神野くんの胸の中に飛び込んでしまった。

それを見る、神野くんの冷ややかな目。

朝とは全然違う眼差しに、私の心にも冷たい風が吹き込む。



「か、神野くん、まだ、人が……」

「うるせーよ。いいから、俺の質問に答えろ」

「な、なに?」



瞬間、神野くんは私から距離を取り、私の目線に合うように背中を丸めた。


そして――



「俺のこと好きか?」



真剣な目で、

少し朝とは違う聞き方で、

まるで私の心を試しているかのような、

そんな声色で尋ねた。
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